「いつか必ず収めてみせる。人生の真実の時を」

ジョルジュには、眼が三つある。三つ目の眼、それはレンズ。
その三つ目の眼で、真実を捜し求める。
ヴィセントは故郷を護るため、闘牛を捨てて銃を持った。
センチュリア・オリンピアーダは、自分たちの意思で銃を持ち、ヴィセントたちスペインの人民のカマラーダとなった。
その戦いを、三つ目の眼でジョルジュは写す。彼らの真実の時を捉えるため。彼らと同じ気持ちで。自由な国スペインを護るカマラーダとして。

なのに何故、ジョルジュは最後にカメラを置いてしまったのだろう。
彼は、三つ目の眼で真実を見続けるべきではなかったのか。
カメラで真実を捜してきたのだから。
レンズを通して心のなかを覗き、フィルムに真実を残してきたのだから。
それが彼の生きかただった。カメラは彼の命だった。
ヴィセントたちの生きかたに人生の真実を見つけたのならばこそ、ジョルジュは彼にしか出来ないやりかたで、彼らの真実を伝えていく必要がある。
それがジョルジュの「人生の真実」ではないのか。

ヴィセントに託したカメラ。それは、ジョルジュの人生の象徴。
そして、この物語の象徴でもある。
それを最後に銃に持ち替えるのが、私には納得がいかない。

そんなこと言い出したら、ヴィセントだって闘牛に命を賭けていたなんて全然判らないんだけどね。
映画の製作発表パーティでかっこいーとこ見せて、オリンピックの開会式リハーサルでかっこいーとこ見せて、闘牛やってる暇ないってば。
そこまで全部ちゃらちゃらキラキラの二枚目だもの。
戦いが始まったら、「不屈のマタドールとなるために、今日まで生きてきた。青春のすべてを賭けた、血と汗と涙にまみれた日々よ」。
え?あ、そっ、そーだったんだ(驚)。
まあ、ヴィセントはあの歌1曲あるから、まだいいとしても。
センチュリア・オリンピアーダの面々は、漫然と戦いに参加したとしか(小声)。
リハーサルの最中にいきなり戦いになっちゃって、そのまま銃持ってますわよ。
銃で戦ったあと、フェンシングで敵を串刺しだとか、ボクシングで敵をノックアウトだとか言われても、えーと。笑え、と?
格闘競技系はまだしも、ハイ・ジャンプで敵を飛び越えるなどと言わされている(そしてハイ・ジャンプポーズまで決めちゃってる)ともちにいたっては、がっ、頑張れー!としか……はは、は。

どの人物も薄い。脚本の書き込み薄いと思うんですよね。
それでも、書かれていないところを各々の芝居で埋めていくしかない。ともちなんか、ほんと濃い芝居してます。
けれど、ジョルジュが銃を持つのだけは……違うんじゃないのかなあああ。

「歴史上のスペイン内戦の勉強が足りないから、話の深みが理解できないんだろ?」
私は、そうは思わないっす。
舞台の上でおこることがすべて。芝居ってそーゆーものじゃないだろーか。
私、予習するの苦手。舞台も、てか学生の頃からだけど(笑)。
予習しなきゃ解らない芝居なんて意味無いし、少なくとも『ネバセイ』はそんな複雑な話じゃないし。

ただの雑感になってしまってすみません。
自分のなかでも、どーにも消化不良なもので。
今回、遠征3回目。21日、22日で2公演(あれ?また1公演足りない!笑)(や、星エンカレがあ〜)観てまいりました。

ヴィセントの髪が変わってましたね。
てゆーか、前髪つくったり、パラっとおとしてるだけだったり、分け目左にしてたり(基本的には右かな?)、観るたび違うからなあ。
あ、スカステで流れてるキューピーカール前髪、あれはたぶん初日だけだったと思うんですが。翌日は、あんなキツいカールじゃなかったので。
肌の地色は、初日ほど黒くなくなっています。
しっかし、宙組のメイクは薄いですねえ。ムラで宙組観たあと、東宝で、しかも特別に濃い『ベルばら』観ると、青々としたアイシャドウに驚いちゃうもん。

ま、そんなことはどーでもいーです。
この物語を、どう捉えたらいいのか。まだムラでも、そしてもちろん東宝でも観る予定ですので、もう少しじっくり考えたいと思います。

それでもね。
最後にジョルジュがフィルムをキャサリンに託すところ。写真家としての命がこめられたフィルムを、アメリカに持ち帰ってくれって頼むところ。
たかちゃんの顔が優しくて。ほんとうに、ほんとうに、優しくて。
去ってゆくハナちゃんの背中が淋しくて。
胸がいっぱいになる。
「君に僕の命を託したいんだ」

じゃあ、カメラ置くなよ!って、話戻っちゃうんだけど。

たかちゃんもすごーく元気そうになってね、それがなによりです。
たしかに調子悪そうなときもあったから。
大きな事故を乗り越えて、今舞台に立ってくれているたかちゃんに、心からの敬意と感謝を捧げます。

タニぃ?
あの人はいっつもすげー元気そう!(笑)
辛いときもキツいときもあるだろーけど、常にアクセル全開!

ええ。それも才能ですってば。

いーよねっ。タニぃ、大好きだよっ。

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