最後の遠征に行ってきました。
5月6日から千秋楽まで。3日間で2公演、少なっ。
前楽も大楽の券も持たず、ムラへ。前楽の時間は、花のエンカレ千秋楽観てました。
あ、緑野さん、まっつ観ました、ちゃんと観ましたからっ。言っておかないと、100万ヒットの全国レベルで「まっつ観てくれなかった」と言われてしまう(笑)。
スターさんでした。かっこよかった、マジで。
まあ、私が気になってしょーがなかったのは、彩城レアちゃんだったりしたんですが(笑)。

私、どうしてもこの作品を、おもしろいとは思えないんです。
話の焦点がぼやけていると言うか散漫で、小池センセが何を訴えたいのか解らない。
壮大な音楽、美しい演出といった器は立派なんだけど、中身がスカスカ。とまでは言い過ぎですか?
まず、話の細かい辻褄が全然合っていないし。
そして、スペイン内戦、そこに生きる人たち、巻き込まれていく男と女。
いろいろ触れてはいるけれど、何ひとつ深く書き込まれた物は無い。
何故、彼らは銃を持ったのか。何故、彼らはそう行動せねばならなかったのか。
作者が叫んでいないから、登場人物たちの叫びが聞こえない。
ジョルジュも、キャサリンも、アギラールも、そしてヴィセントもっ!!

私、「叫ぶ作家」キムシン大好きィなもので。
木村先生の叫んでいることなんか、単純です。誰でも知ってます、それぐらい(笑)。
知っているけど、普段は知らんぷりをしているの。
だって、私たちは弱いから。
多勢に迎合して生きるほうが楽だもの。無勢を虐めるほうが楽だもの。
自分の弱さも醜さも知っているし、そして簡単には強くはなれないことも知っている。
誰もがパリアになれればいいけれど、なれはしない。
だからこそ、救いが欲しい。人間の弱さの中に、本当は自由で強い魂があると信じたい。
単純なことだけれど、それを大声で叫んでくれる人を、私は待っている。
キムシンの「叫ばずにはいられない」その声は、私の魂を揺さぶるの。
(あ、キムシン好き好き言っても、除『スサノオ』です。
『スサノオ』の各キャラも演出も大好きですが、いや、好きなだけに「物語」が無いのは辛かった……)

小池先生のパッションが感じられない。作者がいちばん叫びたかったのは何なのか、その声が聞こえない。だから、カタルシスが無い。
これが、前回までの感想です。

前回から約2週間ぶりの『NEVER SAY GOODBYE』。
熱かった。同じ作品かと思うぐらい、熱い舞台でした。
脚本は変わるはずもないんだけど、その中で表現できることを組子全員が一丸となって創り上げている。
そう、もう千秋楽前。たかちゃんとハナちゃん最後の大劇場。
いわゆる千秋楽マジックに近いものなのかもしれませんが、出演者の熱気に気圧されて、ものすごい勢いで満足してしまったのでした。

宙組生のパッションが、小池先生のそれを越えたのです。

ヴィセントに関しては、もう涙なしには語れません(ホロホロ)。
大和悠河、最高っ(うるうる)。
闘牛を捨てる歌。何て変わりようなんでしょう!!
初日の頃みたいな、勢いで歌う感じじゃなくなってます。
今までの人生を賭けてきた闘牛を捨てる苦悩を、静かに、だけど強く語ってくれる。
故郷を愛する思い。ここで行動せねばならぬという強い意志。
心を溜めて語りかける、大和悠河得意の「魂の声」が聞こえてくるじゃあないですか。
その前なんか何も書かれていないのに、この歌1曲ですべて表現できちゃう人なのよねーー。大泣きしました。
ある種、歌手です(真顔)。音程は……ま、ちーと怪しいのは相変わらずですが、そんなの越えたレベルですから。どんなレベルって、まあ、そんなレベルです(意味不明)。

ジョルジュに「お前は写真を撮ってるだけだろ」と暴言を吐き、仲間たちを「所詮、外国人」呼ばわりする。
これら一連の人非人発言も、脊髄反射な言いかたじゃなくなっている。ヴィセントの中に、深い思慮が見えます。
この台詞を言うときに、どれだけ彼が辛そうなことか。
この言葉にいちばん傷ついているのは、ヴィセント自身なんです。だけど、言わざるを得ない。その哀しさ。
ヴィセントって、仲間のことを誰よりも考えている、懐の深い男なんですよ。台詞だけだとよく解らないんだけど(え?)、大和悠河はそれだけの男の芝居をしている。
もう、私は充分です。

大和悠河のパッションが、小池先生のそれを越えたのです。

緑野さんが、「デフォルメしてみました」という日記をアップされています。
http://diarynote.jp/d/22804/20060503
お前んとこになんか貼らなくても、緑野さんち先に読んでるから!お前んちなんかついでに覗いてるだけだから!という全国100万緑野こあらファンのみなさま、申し訳ございません(てかそもそもネタが古すぎだって)。
ただ、ウチに「大和悠河」などでググってこられて、この日記を見ていないかたが万が一いらっしゃったら、是非読んでみてください。私にはこんなに巧い文章は、とてもとても書けませんから。
たしかにそうなんですよ、ヴィセント。や、小劇団を旗揚げして頑張ってるならまだしも、こっちは命の問題ですから。
最悪ですね。
本当に困った人なんですよ。

でもね。
大和悠河が、ヴィセントを変えてくれましたから。
とにかく、初日の頃とは別人です。

私の中で、「この物語の矛盾点を考えずに楽しもう」って気持ちが出てきたことは否めませんけど。
だって、考えれば考えるほどケチつけたくなるんだもん。私みたいな素人にも突っ込みドコロ満載な脚本を書かないで欲しいわよ、小池センセってば。
だからね、とにかく楽しもう、と。
大和悠河は、文句なくかっこいいしねっ。
開会式(のリハーサル)のかっこよさなんか、マジありえねーからっ!
さすがご本人が「この物語の見どころ」と言い切るだけのことはありますっ!(4月22日「ネ申」降臨@大和悠河お茶会日記参照)


そして、銃を撃つ大和悠河は。

この世におけるありとあらゆるもののなかで、もっとも美しい。


これに勝てるものは、鉄を打つ大和悠河ぐらいであろう。

しかし、正確に言うと、パリアは自ら鉄を打っていないのだが。


ヴィセント、私を撃ってーーーーー!


遠征4回、観劇はこの日で終わり。
あとは、たかちゃん、ハナちゃんを見送るのみ。
私はムラに残りました。

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