7月2日。
退団者が出て、そのファンの人も捌けた。
最後は在団者の出だ。
大和悠河の千秋楽を見送るため、私は劇場前に立った。

次々と生徒さんが出てくる。
ムラの初日が3月24日、まだ寒いぐらいの季節だった。
それから3ヶ月ちょっと。もう初夏。
宙組生は走り続け、私たちも後を追った。
走り続けた彼らに、心からの拍手を!

あひちゃんが出てきた。
そのとき、自分でも驚いたのだが。

私は突然、泣き出したのだ。

隣にいたのはタニ仲間のクンちゃん。
私の顔を見て「やめてよ、泣かないでよ」と言う彼女も、ボロボロ涙をこぼしている。

結局、私たちは2人で「あひちゃん、あひちゃん」と、びーびー泣き続けたのだった。

ムラ初日のあひちゃんを思い出していた。
失礼な言いかただが、本当に大変そうだった。
声はプルプルと震え、歌は漏れなくカマしていた。
たかちゃんに対抗し、ハナちゃんを襲う。ソルーナさんを従え、スペインの民衆の上に立つ。
そのすべてがいっぱいいっぱいで、捨てられた子犬のようにオドオドしていた。
あひちゃんが真面目で誠実な人であるからこそのことだと思えた。

公演を重ね踏ん張る様を、私たちは見続けてきた。
今日はよかった、今日はまた前に戻ってしまったと、ハラハラしながら私たちは彼を見続けてきた。
純粋なあひちゃんファンのかたに「そんな失礼な言いかたを大和煮えにされたくないし、私たちこそがあひちゃんを見続けてきたのだ」と反論されてしまうかもしれないが(ごめんなさい)、でも「あひちゃん行け行けっ!」という気持ちは、宙組ファンみんなの思いだったのではないだろうか。
みんなあひちゃんが大好きだから。

上がったり下がったりしながらも、アギラールは着実に右肩上がりに伸びてきた。
ムラの最初の頃は「今日はガーっといってるな」と思っても、歌を1箇所カマしちゃったらもう終わりという感じで、とたんにシュンとなっていた。
東宝のあひちゃんは引かなくなった。とにかく前に突き進む。
たかちゃんに拮抗するものを見せてくれるようになった。
アギラールに力が出ると、場面の印象もまるで変わる。

私が観た公演でアギラールがいちばん絶好調に思えたのは、最後の休演日前日公演だ。
センターでスペインの民衆を鼓舞するアギラールの背中から、炎が立っていた。
私は確かにそれを目にした。

最後に観たのは前楽だが、調子はよくなかったように思えた。
そもそも劇場はサヨナラ色の独特の空気に満ちている。
あひちゃんの声は荒れ、歌もキツそうだった。
それでも、彼は決して引かなかった。
そこに辿り着いたあひちゃんの道のりを思うと、胸がいっぱいになった。

宙組最後の出。
あひちゃんがファンの人たちの前に立つ。
にこやかな笑顔で何か話している。
何を言っているのかは聞こえないけれど、でもファンの人たちもみんな笑顔。
楽しそうな笑い声がおこっている。

この出を見るのも好きだったんだよね。
いつもファンの前でいろいろお話している。優しくてかっこいいお姉さんって感じ。
決して笑顔を絶やさない、ステキな出だ。

あひちゃんの出を見て、私は泣いた。
あひちゃんが月組に行ってしまう、悲しくて悲しくて、私たちは泣いた。

所詮、大和煮え。
月組にいてくれるほうが、あひちゃんを常にピン取りできるんだけど、ね。

あひちゃんの月組での活躍を、心から祈っている。

びーびー泣いてたら、大和さんが出てきたよう!

20時40分。大和悠河『NEVER SAY GOODBYE』東宝最後の出。
ええ。最後の最後までさいこーにかっこよかったわん。
すぺさる笑顔だった、この日の出。
あああ〜、ほっんとかっこいいいいい〜。

彼にとって、入り出も舞台なんだと思う。
常にかっこよく、男役大和悠河を見せてくれる。
そんな彼に会いたくて、通いに通った東宝公演!(笑)

ヴィセントも、ムラの頃とはまったくの別人になった。
それを見続けたことが、私たちファンの誇りだ。
あなたを追い続けることが、私たちファンの誇りだ。

どこまでも、どこまでも。
私はあなたの後ろをついてゆく。
あなたが走り続ける限り。
あなたを私は追い続ける。

どこまでも、どこまでも。

あ、月組ではあひちゃんピン取りだからっ!
(で、でもキリヤさんも大好きだぞ。どうするっ、自分?)

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