言っておくが@湖月わたる『愛するには短すぎる/ネオ・ダンディズム!!』東宝お茶会
2006年10月21日 星組最初に、別れ際にキャサリンコスで「ではまた近いうちにぃ〜!」と仰ったのは、kineさんのほうである。
そんなkineさんはしのぶさんに負けず劣らずラヴリィで、私はスノードン氏張りに「(ウチに)戻りたくないなあ」と思ったわけさ。でも、「そうはいかないだろ」。
仕方ない、今日のところはお別れだ。
「バイ・バイ!」
私は思いっきり鼻の下を伸ばし、大きく左右に手を振って、スノードン氏コスで叫んだ。
去りかけていたkineさんは振り返り、笑ってくれた。
あ。ウケたかも。
調子に乗った私は、さらにデレデレ顔をつくり、さらに大きく左右に身体ごと手を振り、さらに声を張り上げ(張り上げなくても私の地声はそもそもデカいのだ。いつもサトリちゃんに注意される)、kineさんの背中に向かって叫んだ。
「バイ・バイ!バイ・バイ!バイ・バハハハハハ……」
かなりの熱演だった。自分で言うのもなんだが、相当の名演技でもあったと思う。アタシ、もしかしたら今、英真なおきを超えた?超えた?超えたよね?
ふたたびkineさんが振り返った。でも、もうkineさんは笑っていなかった。
いつもの如く冷静な顔に戻っていた。
そして、いつもの如く冷静に、一言。
私に告げた。
「それ、やりすぎだから(冷静)」
それだけ言い残してkineさんは電車を降り、同時に静かにドアが閉まった。
私は決して空いているとは言えない車両のなかに、ひとり残された。
そう、これは電車のなかでの羞恥プレイだったのだ。
大きく振って止まったままの手を、スノードン氏並みに持て余した私は、知らん顔してそれをそっと背中に回した。それにしても乗客の視線が痛い、痛すぎる。
ああ、自分の降車駅に着くまでの時間が、どんなにか長かったことか。
小降りだったはずの雨は、駅に着いたときには、傘など何の役にも立たないほどのどしゃ降りに変わっていた。
タクシーの列に並びたい、だけど、あの羞恥プレイに冷たい視線を投げかけていた誰かが、その列にいるかもしれない。だめだ、耐えられない。
私は濡れ鼠を覚悟で、歩き出した。
自分は濡れてもいいからさ、今日いただいたお茶会のお土産とプログラムだけは、どんなことがあっても濡れないようしてに帰ろう。
悲壮な決意で、手に持った紙袋を庇いながら歩き続けた。家は遠いさ。
そういえば、わたるさんって雨女なんだよな……激しい雨に打たれながら、私は漠然とそんなことを考えていた。
9月21日、湖月わたる最後のお茶会にいってまいりました。
帝国ホテル孔雀の間に、びっしりの人、人、人。
最後のお茶会と言っても決して湿っぽいものではなく、わたるさんらしい明るい空気に満ちた、楽しい会でした。
爆笑トークの数々は、すでにkineさんが10月22日にUPされておられますので、今さら私が書くことなんてないかもしれません。
http://diarynote.jp/d/42631/20061022
ネットでも散々既出ですが、わたるさんへのプレゼントであるこの日着ていらっしゃったDOLCE&GABBANAのスーツ、「これを買いにいかせていただいたら(ちゃんとへりくだるところが、とってもわたるさん)、店員さんに聞かれました」。
「お店、どこですか?」
一瞬、会場はぴよ?ってなったんですよ。それから意味が解って、大爆笑。
「お店、どこですかってええ?!」と叫ぶわたるさん。みんな、きゃあきゃあ喜ぶ。
こんなかっこいいホストがいる店だったら、私も通うわよっ!や、貢げないけどね。
「そんなこんなで、はい。今日のここがお店だということで」
「男役冥利に尽きるというか。まあ、自衛隊に間違えられたこともありました、それを思えば!」
たしか、いつかの全ツのとき、「お仕事は?」「舞台をやっています」「はあ、どちらの部隊ですか?」とかゆーお話でしたよね。
ホテルのプールの受付で、何の疑問もなく男物の海パンを渡されたてゆー「海パン事件」が報じられたこともありましたっけ。
そんな漢、オトコマエ湖月わたる、最後のご挨拶。
うって変わって、シンとなる会場。
「喫茶店の片隅で始めたお茶会が、こうして帝国ホテルのこんなに広い会場で、こんなにたくさんのみなさまに来ていただける。そんなひとときをしあわせに思っております。ありがとうございました」
「みなさまにお会いできるのも、私とみなさまを結んでくれるスタッフの頑張りがあってこそだと思っております。どうかWATARU CLUBのスタッフのみんなに、もう一度大きな拍手を送ってください」
ファンへの感謝とスタッフへの感謝を、真っ先に述べる。そんな思いやりが、またオトコマエ。
「私の今の正直な気持ちをみなさまにお伝えしたいと思います。
2月13日に退団発表をし、2月14日に記者会見をさせていただきました。そのとき私は、これからは宝塚にいてできなかったこと、勉強して資格をとり大学を目指したい、舞台についてはゆっくり考えたいと発表させていただきました」
「それから8ヶ月が経ちました。勉強に対する気持ちは、まったく変わっていません。目標に向かって、頑張っていきます。
舞台に対しては、大劇場のときはまだまだ私を待っている舞台がある、それを一生懸命やることで精一杯でした」
「10月6日に東京公演初日の幕が上がりました。千秋楽を迎えたら、次に私を待っている舞台はない。そう思ったときに、とてつもない淋しさを感じました。
そして、この20年頑張ってきたこと、みなさまに出会えたこと、舞台への情熱。それを11月12日で消すことができるのかと考えたとき、それは無理な気がしました」
「私が私らしくいられる作品に巡り会えたら、舞台に出てみたいと思っています。
もちろん、勉強も頑張りたい。そんな欲張りな私がきちんと2本のレールを歩いてゆけるのか分かりませんが、私なりに勉強と舞台を両立させて、私らしい人生を歩んでゆきたいと思っています。
それが今の正直な気持ちです」
「みなさまに出会えたことを、本当にしあわせに思っています。11月12日までは宝塚歌劇団星組の湖月わたるを、11月13日からは湖月わたるの新しい人生を、応援してください。よろしくお願いいたします」
周りはみんな、泣いていた。
卒業されたら、二度とわたるさんの舞台を観ることはできない。それも覚悟していたのに、また舞台に立ってくれる希望が見えた。それがいちばん大きいかもしれない。
だが、それよりも、私は彼の誠実さに泣けた。
ひとつひとつ言葉を選びながら慎重に、でも、まず第一にファンへ今の正直な気持ちを伝えようとする、その真っ直ぐな姿勢に胸を打たれた。
自分の顔を覗き込まれているはずもないのに、ひとりひとりの目を見て語ってくれているような、真摯な声が嬉しかった。
そんなわたるさんの誠実な人柄に、私はただただ泣けた。
わたるさんなら、遣り遂げるだろう。
今回だけを考えたって、本公演、サヨナラショー、TCA、ディナーショー、そして東宝での新しいボレロの場面、すべてを完璧に遣り遂げ、なお進化し、私たちに夢を見続けさせてくれているのだ。
勉強と、舞台と。2本のレールを見事両立させ、私たちの頭上に輝いてくれる。
彼は、必ずや遣り遂げてくれるに違いない。
「では、みなさん、いいですか?せーの!」
司会者の音頭で、最後を締める、開宴前に練習したはずのわたるさんへの掛け声。
は?は?は?
……忘れた。どんな言葉だったか、私はまったく思い出せなかった。
みんなもグダグダだったけどね(笑)。あのわたるさんの言葉の直後だもん、そりゃグダグダになりますって。
「みなさん、大丈夫ですかっ?!まだ心の動揺がっ?!」
わたるさんは笑ってそんなことを言っていたけれど、動揺がおさまらない私は、2回目の掛け声やり直しのときもまったく声が出なかった。つか、掛け声思い出せないままだった(笑)。
正解は「わたるくんのこと、一生忘れません!」でした。ああ、言い損なった!
練習のときは、人一倍声を張り上げて叫んだのになあ(張り上げなくても私の地声はそもそもデカいのだ。いつもサトリちゃん以下略)。
声には出せなかったけど、でも。
私は、宝塚歌劇団星組の湖月わたるを一生忘れない。そして、11月13日からは、湖月わたるの新しい人生を一生応援する。
わたるさん。あなたは、私の太陽。
そんなkineさんはしのぶさんに負けず劣らずラヴリィで、私はスノードン氏張りに「(ウチに)戻りたくないなあ」と思ったわけさ。でも、「そうはいかないだろ」。
仕方ない、今日のところはお別れだ。
「バイ・バイ!」
私は思いっきり鼻の下を伸ばし、大きく左右に手を振って、スノードン氏コスで叫んだ。
去りかけていたkineさんは振り返り、笑ってくれた。
あ。ウケたかも。
調子に乗った私は、さらにデレデレ顔をつくり、さらに大きく左右に身体ごと手を振り、さらに声を張り上げ(張り上げなくても私の地声はそもそもデカいのだ。いつもサトリちゃんに注意される)、kineさんの背中に向かって叫んだ。
「バイ・バイ!バイ・バイ!バイ・バハハハハハ……」
かなりの熱演だった。自分で言うのもなんだが、相当の名演技でもあったと思う。アタシ、もしかしたら今、英真なおきを超えた?超えた?超えたよね?
ふたたびkineさんが振り返った。でも、もうkineさんは笑っていなかった。
いつもの如く冷静な顔に戻っていた。
そして、いつもの如く冷静に、一言。
私に告げた。
「それ、やりすぎだから(冷静)」
それだけ言い残してkineさんは電車を降り、同時に静かにドアが閉まった。
私は決して空いているとは言えない車両のなかに、ひとり残された。
そう、これは電車のなかでの羞恥プレイだったのだ。
大きく振って止まったままの手を、スノードン氏並みに持て余した私は、知らん顔してそれをそっと背中に回した。それにしても乗客の視線が痛い、痛すぎる。
ああ、自分の降車駅に着くまでの時間が、どんなにか長かったことか。
小降りだったはずの雨は、駅に着いたときには、傘など何の役にも立たないほどのどしゃ降りに変わっていた。
タクシーの列に並びたい、だけど、あの羞恥プレイに冷たい視線を投げかけていた誰かが、その列にいるかもしれない。だめだ、耐えられない。
私は濡れ鼠を覚悟で、歩き出した。
自分は濡れてもいいからさ、今日いただいたお茶会のお土産とプログラムだけは、どんなことがあっても濡れないようしてに帰ろう。
悲壮な決意で、手に持った紙袋を庇いながら歩き続けた。家は遠いさ。
そういえば、わたるさんって雨女なんだよな……激しい雨に打たれながら、私は漠然とそんなことを考えていた。
9月21日、湖月わたる最後のお茶会にいってまいりました。
帝国ホテル孔雀の間に、びっしりの人、人、人。
最後のお茶会と言っても決して湿っぽいものではなく、わたるさんらしい明るい空気に満ちた、楽しい会でした。
爆笑トークの数々は、すでにkineさんが10月22日にUPされておられますので、今さら私が書くことなんてないかもしれません。
http://diarynote.jp/d/42631/20061022
ネットでも散々既出ですが、わたるさんへのプレゼントであるこの日着ていらっしゃったDOLCE&GABBANAのスーツ、「これを買いにいかせていただいたら(ちゃんとへりくだるところが、とってもわたるさん)、店員さんに聞かれました」。
「お店、どこですか?」
一瞬、会場はぴよ?ってなったんですよ。それから意味が解って、大爆笑。
「お店、どこですかってええ?!」と叫ぶわたるさん。みんな、きゃあきゃあ喜ぶ。
こんなかっこいいホストがいる店だったら、私も通うわよっ!や、貢げないけどね。
「そんなこんなで、はい。今日のここがお店だということで」
「男役冥利に尽きるというか。まあ、自衛隊に間違えられたこともありました、それを思えば!」
たしか、いつかの全ツのとき、「お仕事は?」「舞台をやっています」「はあ、どちらの部隊ですか?」とかゆーお話でしたよね。
ホテルのプールの受付で、何の疑問もなく男物の海パンを渡されたてゆー「海パン事件」が報じられたこともありましたっけ。
そんな漢、オトコマエ湖月わたる、最後のご挨拶。
うって変わって、シンとなる会場。
「喫茶店の片隅で始めたお茶会が、こうして帝国ホテルのこんなに広い会場で、こんなにたくさんのみなさまに来ていただける。そんなひとときをしあわせに思っております。ありがとうございました」
「みなさまにお会いできるのも、私とみなさまを結んでくれるスタッフの頑張りがあってこそだと思っております。どうかWATARU CLUBのスタッフのみんなに、もう一度大きな拍手を送ってください」
ファンへの感謝とスタッフへの感謝を、真っ先に述べる。そんな思いやりが、またオトコマエ。
「私の今の正直な気持ちをみなさまにお伝えしたいと思います。
2月13日に退団発表をし、2月14日に記者会見をさせていただきました。そのとき私は、これからは宝塚にいてできなかったこと、勉強して資格をとり大学を目指したい、舞台についてはゆっくり考えたいと発表させていただきました」
「それから8ヶ月が経ちました。勉強に対する気持ちは、まったく変わっていません。目標に向かって、頑張っていきます。
舞台に対しては、大劇場のときはまだまだ私を待っている舞台がある、それを一生懸命やることで精一杯でした」
「10月6日に東京公演初日の幕が上がりました。千秋楽を迎えたら、次に私を待っている舞台はない。そう思ったときに、とてつもない淋しさを感じました。
そして、この20年頑張ってきたこと、みなさまに出会えたこと、舞台への情熱。それを11月12日で消すことができるのかと考えたとき、それは無理な気がしました」
「私が私らしくいられる作品に巡り会えたら、舞台に出てみたいと思っています。
もちろん、勉強も頑張りたい。そんな欲張りな私がきちんと2本のレールを歩いてゆけるのか分かりませんが、私なりに勉強と舞台を両立させて、私らしい人生を歩んでゆきたいと思っています。
それが今の正直な気持ちです」
「みなさまに出会えたことを、本当にしあわせに思っています。11月12日までは宝塚歌劇団星組の湖月わたるを、11月13日からは湖月わたるの新しい人生を、応援してください。よろしくお願いいたします」
周りはみんな、泣いていた。
卒業されたら、二度とわたるさんの舞台を観ることはできない。それも覚悟していたのに、また舞台に立ってくれる希望が見えた。それがいちばん大きいかもしれない。
だが、それよりも、私は彼の誠実さに泣けた。
ひとつひとつ言葉を選びながら慎重に、でも、まず第一にファンへ今の正直な気持ちを伝えようとする、その真っ直ぐな姿勢に胸を打たれた。
自分の顔を覗き込まれているはずもないのに、ひとりひとりの目を見て語ってくれているような、真摯な声が嬉しかった。
そんなわたるさんの誠実な人柄に、私はただただ泣けた。
わたるさんなら、遣り遂げるだろう。
今回だけを考えたって、本公演、サヨナラショー、TCA、ディナーショー、そして東宝での新しいボレロの場面、すべてを完璧に遣り遂げ、なお進化し、私たちに夢を見続けさせてくれているのだ。
勉強と、舞台と。2本のレールを見事両立させ、私たちの頭上に輝いてくれる。
彼は、必ずや遣り遂げてくれるに違いない。
「では、みなさん、いいですか?せーの!」
司会者の音頭で、最後を締める、開宴前に練習したはずのわたるさんへの掛け声。
は?は?は?
……忘れた。どんな言葉だったか、私はまったく思い出せなかった。
みんなもグダグダだったけどね(笑)。あのわたるさんの言葉の直後だもん、そりゃグダグダになりますって。
「みなさん、大丈夫ですかっ?!まだ心の動揺がっ?!」
わたるさんは笑ってそんなことを言っていたけれど、動揺がおさまらない私は、2回目の掛け声やり直しのときもまったく声が出なかった。つか、掛け声思い出せないままだった(笑)。
正解は「わたるくんのこと、一生忘れません!」でした。ああ、言い損なった!
練習のときは、人一倍声を張り上げて叫んだのになあ(張り上げなくても私の地声はそもそもデカいのだ。いつもサトリちゃん以下略)。
声には出せなかったけど、でも。
私は、宝塚歌劇団星組の湖月わたるを一生忘れない。そして、11月13日からは、湖月わたるの新しい人生を一生応援する。
わたるさん。あなたは、私の太陽。
コメント