6月6日、明治神宮外苑聖徳記念絵画館。
映画『300(スリーハンドレッド)』ジャパンプレミア試写会、かし子の赤絨毯続きのお話。

19時。
甲冑で身を固めたスパルタ兵が、正面階段の上に登場した。
その数は20人余。

――紀元前480年、クセルクセス王に率いられた100万を越すペルシア軍と、レオニダス王に率いられたギリシア軍5000の戦いが行われた。
この戦闘のなかで、たった300人でギリシア軍を支援し、その勇敢さを発揮したスパルタ兵。
負けるとわかっていても、誇りと祖国のために戦ったスパルタ兵たち――

映画のタイトル『300』は、このスパルタ兵の数300人を表すそうだ。

……と言っても、甲冑の中の人は、たぶん大学ラグビー部あたりのバイトさんであろう。
たっ、大変そうやな。
しかし、階段の上でフォーメーションをとる彼らは、なかなかかっこよかったのだよ。

MCのおねいさんが自己紹介をする。
「○○サトリと申します」
サトリさんてえ!
隣のサトリちゃんと爆笑したのは、言うまでもない。

わらわらと人々がレッドカーペットの上を歩き、試写会が行なわれる絵画館の中に入っていく。
「深作健太監督がいらっしゃいました!」
サトリさん@MCが深作監督を捕まえて、インタビューしている。
私はそれらを漫然と眺めていた。

19時20分。

私たちがいたすぐ前は、レッドカーペットのはじまりにあたる場所だった。
ふと前を見ると、そこにかしちゃんが立っていた。

どきん。

これからレッドカーペットを歩き、階段を上がるかしちゃん。
その時間を前に、かしちゃんは静かな目で真っ直ぐ前を見据えていた。

どきん。

かしちゃんのオデコがはっきり見えた。
かしちゃんは右サイドから分けて前髪を下ろしていたのだが、その右の横顔の、分け目からオデコがはっきりとキレイに見えた。

どきん。

美しかった。
とても、美しかった。
闘いに挑む前、人はあんなにも静かな美しい面立ちになるのだろうか。

何もできなかった。
カメラのシャッターを押すことも忘れてしまった。
私は固まったまま、かしちゃんの美しい横顔と美しいオデコを、ただひたすら見つめていた。

かしちゃんが、ゆっくりと歩きだした。
黒いノースリーブのワンピースはジャスト膝丈、スカート部分は三段の布が剥いである。
ラウンドネックの襟元に、同じく黒のドット柄スカーフをあわせ、足下も黒のドット柄パンプス。
階段を上がるワンピースの背中は、V字に深く開いている。
シンプルで気品にあふれる、そのスタイル。

………。

やっだあああもお!うふふうふうふうふ。
あはっ、かしちゃんたら何着ても似合っちゃうのよねえええ。
ねえねえそれってすっごくないィすっごいよねェだからぁだからぁ。

とにかくステキなんだってばああああああ!!

「あ、元宝塚歌劇団宙組トップスターで、女優の貴城けいさんです!貴城さん、今どんなお気持ちですか?」
サトリさん@MCがかしちゃんにマイクを向ける。

「100万人対300人の戦いということで、見るのを楽しみにしております」
かしちゃんは丁寧に答える。

「今日は主演のジェラルド・バトラーさんにもお会いできるということで、いかがですか?」

「いかがですか?」と聞かれても、答えるのって難しくない?

「……ナマ。ジェラルド……ぐふっバトラー……さんっ……(上目づかいでニッコリ)ぐふっ。ぐふぐふふ」

「……にお会いできるのが楽しみです!」

かしちゃんはアヒルのような声で、ぐふぐふ言っていた。
ああ、字じゃ伝わらないなああ。とにかくねえとにかくねえ。

それがすっごいすっごいすっごいかあわあいかったのおおお!!

いち・かしちゃんはジェラルド・バトラー氏の大ファンで、「ナマ。ジェラルド・バトラーさん」に会えるしあわせのあまり、ぐふぐふ言ってしまった。
に・ヅカ時代忙しかったかしちゃんは、ジェラルド・バトラー氏のことは実はそんなに詳しくなくて、ぐふぐふ言ってしまった。

そんなんどっちでもいーですわんぐふぐふふ。
だってかしちゃんがかあわあいかったんですものぐふぐふふ。

そして、かしちゃんは試写会場の中へ入っていった。

そのあとから永井美奈子さん。
「叶姉妹とか来ないのかっ、ええっ?!」
サトリちゃんと騒いでいたら、叶姉妹よりすごい人が現れた。

キンさん。

私たちは、だからレッドカーペットのはじまりのところにいたのだが、そこにキンさんが待機しているではないか!(とにかく目立つ)
しかも!

うわうわうわわドイちゃんドイちゃんだよドイちゃんドイちゃんだって!
(実はドイちゃんスキーな私)(口癖は「ドイちゃんのフィギュア、どっかに売ってませんか?!」)

東宝休演日の星組生が、そこにいた。
サトリちゃん@立樹極右の目がギラリと光った。だが、しかし。

しいちゃんの姿はなかった。残念ナリ。

先頭に柚美さん、そしてキンさん、ドイちゃん、コロちゃん、しずくちゃん。
私たちの前をあっと言う間に通りすぎていき、全員のお顔が確認できない。
思いがけないサプライズに私もサトリちゃんも、いやあこーふんしたわあもお。
「あのシルエットはにしきさん」
階段を上がる後ろ姿から、サトリちゃんが断定した。星組生は7人。あとの1人は、服装から娘役さんだと思う。

この日会場内にいた観客の中で、星組生にいちばん詳しいのは確実にサトリちゃんだ。断言。
彼女に分からなかったのだから、ここに登場した星組生全員のお顔を判別した人間は、他にいなかったということになる(筈だ)。
あああ知りたい、誰だったんだろう。

彼らは、宝塚ファン、かしちゃんファンでもあるきよ彦さんと一緒に、試写会にやってきたのだった。
「着物デザイナーのきよ彦さんと宝塚歌劇団星組のみなさんです!では、代表してきよ彦さんにお話をお伺いしましょう」

「ええええ、きよ彦さんてえ」byサトリちゃん
「ええええ、ドイちゃんに喋らせろをいドイちゃんドイちゃんっ!」byあたし(それ絶対ないから)

そのあとから千野志麻さん、岩崎良美さん。

会場内は、刻々と夜の闇が深くなっていった。
そして、ついに主演のジェラルド・バトラー氏が登場した。

ジェラルド氏の登場とともに会場のファンが一斉に「ジェリーっ!!」って悲鳴をあげて(しかも「じジィュェるリィィっ!!」みたいになかなかイイ発音だったりする)(笑)、色紙やカードを彼に差し出したのだが、なんと彼はそのひとつひとつに丁寧にサインをしてあげているのだ。
「いい人だああ」

こうなったら楽しまなきゃ損。

「じジィュェるリィィっ!!」
「じジィュェるリィィっ!!」

サトリちゃんと私はキモチよく大声をあげて、じジィュェるリィィに向かってぶんぶん両手を振った。

私たちの背後の噴水から霧のように水が高く上がり、会場内は歓声で沸く。

その霧をスクリーンにして、じジィュェるリィィの顔が闇の中に大きくくっきりと浮かび上がった。

楽しかった。とても楽しい時間だった。

かしちゃんがいなければ、足を踏み入れることもない場所だっただろう。

そう。

かしちゃんは、いつも私にしあわせをくれるのだ。

かしちゃん、ありがとう。

それから、お付き合いしてくれたサトリちゃん、ありがとう。

かし子の赤絨毯、麗しのお姿はコチラ貴城けい公式ファンサイトLuciana online newsからドゾ。
http://www.oscar-land.com/takashiro/news/index.html
(6月7日更新分)

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