大和悠河のスター力、キラキラの底力を見せつけられた気がします。
大和さんって、スゴイ人です。

以下、ネタバレ注意。


夢は願い続ければ叶う。
幼い頃からの夢……アニメーション作家となり、描き続けている「Paradise Prince」をテレビシリーズとして世に送り出す、それに向かってゼロからの人生を決意し、新しい生活をスタートさせるスチュアート@大和さん。
彼は夢へと、ひたむきに突き進む。

スチュアートが夢に向かって生きるさまは、まさにキラキラと希望に満ちていて、私たちもその夢を一緒に見させてもらえる。
夢ってステキだね。願い続けよう、自分の夢を。なんてね。

つい、騙されちゃうんですよ。

大和さんのキラキラをもってして、夢に向かって生きるってステキだって思わされちゃう。

スチュアート自身が夢に向かってひたむきに行動しているとは、私には到底思えないのです。

穴だらけの人物を、そのスター力で見せてしまう大和さんは、やはりスゴイ。
にしてもスチュアート、夢に向かって何やってるの?
私には、それが分かりません。

彼は10代の頃からあまたのコンクールで受賞を重ね、若き天才アーティスト、モダンアート界のプリンスとしての地位を獲得しているわけです。
その地位にありながら、アニメーション作家として、なにもゼロからスタートする必要はないでしょう。そこからアニメーションの道へ入っていくほうが、簡単じゃないですか。それでいいじゃないですか。むしろ、大人ならそうすべきじゃないですか。

まあ、若き天才アーティスト、スチュアート・メンフィールドとしてではなく、とにかくゼロからやりたかったんだとしましょう。
それで自分の立場を隠し、スチュアート・グリーンとなって、アニメーション会社に就職したんだと。
彼が2Dチームに配属になったのは、偶然です。空きが、そこにしかなかったから。
スチュアートのやりたいアニメーションって?なんでもよかったんだろうか。3Dチームに空きがあったら、そっちでコンピューターいじらされてたんですよね?
そんな偶然の産物で、その2Dテームでセル画を描くことから、彼の新しい生活はスタートします。
で、アニメーション作家になることと、アニメーション会社でセル画を描くことは、似て非なるものではありませんか?

それでも、彼はどうしてもそこからスタートしたかったんだとしましょう。あくまでも、それは偶然ですけど。
徹夜して絵を描いていたとか、彼が入社以来数日間努力していたらしいことは、たしかにキャサリン@ウメちゃんの口から語られます。ただ、舞台の上では見られない。
社内コンペに出すアニメーション制作は、頑張っているようです。仕事じゃなくて、コンペだけど。しかも、頑張っているのは彼というより、2Dチームの仲間たちが主な気もするけど。
まあ、「Paradise Prince」アニメーション化の夢への一歩ではあるのかもしれない。

しかし、彼は突如ニューヨークに帰ってしまうのです。
「ママが倒れた」という、妹マーガレット@アリスちゃんの電話一本で。
彼を連れ戻すためにあれこれ画策していたアンソニー@蘭とむちゃん、立場なし。

母ローズマリー@美穂さんは、夫ジョン@大ちゃんが生きていた、しあわせだった頃の家族を忘れることができない。
そして亡くなった夫の夢を、知らず知らずのうちに、息子スチュアートに押し付けていた。
父を尊敬しているが、自分の夢を諦めることはできないと、母に告げるスチュアート。

「ちゃんと話すべきだと思ってた……」

(爆)(ここは笑うとこ)

そうです。
最初から、ちゃんと話せばよかったんです。理解してもらうまで、話をすればよかったんです。ほんとうにそれだけ。
自分の立場もわきまえず、いろんな人に迷惑がかかることも予想がつくだろうに、それを勝手に捨てておきながら、この人今頃になって何を言い出すんだろう。

場面は変わって、コンテンポラリーアートの殿堂と言われるアートフェスティバル「アート・バーゼル・マイアミビーチ」。
ここで、スチュアート・メンフィールドとして登場した彼は、恋人キャサリンが描き、そして彼の夢を思って引き裂いた絵と、その夢である「Paradise Prince」を並べた絵を紹介します。
「これが僕の夢です」
その絵は、資産家ドナルド@ちやちゃんによって、300万ドルで買われ……。
300万ドル。法外な値段です。それは「Paradise Prince」が評価されたのか、スチュアート・メンフィールドだからこそその値が付けられたのか、全然分かりません。
ドナルドの息子ラルフ@みっちゃんは「これからのアートはアニメだ」と目をつけてスチュアートの働くアニメーション会社に潜入していたと、ここで明かされますが、その意味も分からないのですが。ラルフはスチュアートの正体を知っていたの?どうやって知ったの?

とにかく、結局スチュアート・メンフィールドなんですよ。夢を、堂々と皆に宣言するのは。
スチュアート・グリーンじゃない。

じゃあ最初から、そうすればいいのに。素で思っちゃうわ、ええ。

その10年後。
スチュアートの傍には妻となったキャサリン、二人の間に生まれたとおぼしき可愛い男の子@エビちゃんと女の子@れーれ。しあわせなスチュアート家。
テレビをつけると、アニメ「Paradise Prince」がはじまります。

叶わない夢はない。
どうやらスチュアートの夢は、叶ったらしいです。

はい?なんで?

どうやって夢を叶えたの?

その課程が、全然分からないのですが。

願い続ければ、叶わない夢はない。
それは「願い続け」ることが肝心なわけじゃないでしょ。
願い続け、その夢に向かって「努力」することが肝心でしょ。
願うだけなら、誰にだってできる。

それに向かって努力してこそ、人間は輝くのではないですか?

スチュアートの「夢」に対する努力なんて、まるっとすっ飛ばしてるから、口ポカーン。

幼い頃から、自分の夢と家族との狭間で苦しんでもいたんでしょう。それでも夢を諦めることはできなかった。それは分かります。
でも、その夢を叶えるために、何をしたの?アニメーション会社に就職して、その先は?

そこからの苦悩と努力を見せてくれないと、願い続ければ叶わない夢はないって言われても、説得力まるでない。
いきなり「あれから10年」って、そんなお手軽なっ!(白目)

大和さんのスター力、キラキラだけではありませんか?「夢に向かってひたむきなスチュアート」と思わせるものって。
スチュアートの行動からは全然、分かんないの。口だけなの。
そりゃあ大和さんって、あれだけキラキラしている人だから、存在するだけで、夢に向かってひたむきに突き進んでいるように見える。
でも、それはこっちが騙されているだけなんじゃないかと。騙すのもスターの仕事だし、それをやってのける大和さんはすばらしいんです。あれだけ何もしていない男を、とにもかくにも行動しているように見せちゃうんだから。

でも、作者。これ、構成に穴ありすぎやしませんか。

まず「Paradise Prince」という物ありきで、そこに後から付けられたストーリー。
それにものすごい違和感を感じてしまうのは、私だけなのでしょうか。

そして、大和悠河=キラキラ=プリンス。
そういう一般的なイメージで書かれた、ステレオタイプの大和悠河。
ファンが見たい大和さんは、こんなステレオタイプの大和さんじゃない。私はどうしても、その感を拭うことができないのです。
リピートしていくうちに、またキモチも変わってくるのかもしれません。
今はまだ、そういうふうにしか言えない自分がいます。

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