本日もネタバレ注意。


最先端のアートを発信し、アメリカのアート界をリードする実力派のアートプロデューサー兼、アートとビジネスを結びつけて巨額の金を動かすやり手の実業家、アンソニー・ブラック@蘭とむちゃん。
彼は学生だったスチュアート@大和さんの才能に目をつけ、ずっと資金援助を行ってきた。
しかし、若き天才アーティスト、モダンアート界のプリンスと称されるまでに成長したスチュアートは、「Paradise Prince」と共に新しい人生に向かって出発するというメッセージを残し、ある日忽然と姿を消してしまう。
スチュアートをアート界に連れ戻すべく、奪回計画を練るアンソニー。そしてスチュアートの居所を突きとめ、部下に彼の周囲の徹底調査を命ずる。
アート界のために、そして自分がその世界に君臨するために、彼は必ずスチュアートを取り戻さなければならない。
スチュアートの夢など決して認めない、アンソニーにとって、それは邪魔なものでしかない。

アンソニー・ブラック。彼こそは、スチュアートの夢を妨害する、ドリームキラー。

どうやらアンソニーは悪役のようです。なんせ名前からして「ブラック」ですし(笑)。
黒のスーツ、オールバックに固めた黒髪と、はらりと垂らした色ジケ(なの?)は、いかにも悪役風。
第一秘書で愛人のヴィクトリア@まさみちゃんと、第二秘書で愛人?のシャルル@ともちゃん、部下たちを常にはべらせ、表面はクールに、そしてナルシストで無駄に暑苦しいはあとをもって、スチュアートの奪回に執念を燃やす。

どうやらアンソニーは悪役のようです。
って、そうなのか?

自分が資金援助をしている有能な新人アーティストが突然姿を消してしまったら、アートプロデューサーとして連れ戻そうと考えるのは、至極真っ当なお話。
それだけのことだと思うのですが。

一見、いかにも悪役風な「ブラック」さんではありますが、彼の考え方がふつーじゃん。
ある日突然、姿を消すほうが間違ってる。

ここで、あの台詞ですよ。
「ちゃんと話すべきだと思ってた……」
そのとーり。
家族だけではなく、自分を援助し続けてくれたアートプロデューサーとも。
スチュアートがちゃんと話すべきだった、ちゃんと話をしなくてはならなかった。
それだけ。

「願い続ければ叶わない夢はない」
私は汚れた大人だから知っています。願い続けたって叶わない夢もあるのです。
いや、願い続けたって叶わない夢のほうが、むしろ多いのです。
夢を掴める人なんて、ほんの一握りにしか過ぎない。それが人生です。

それでも、舞台で、宝塚で、その「夢を願う」キモチの尊さを訴えることは、ステキだと思うの。
夢を信じ、願おうって。その心を大切にしようって。

子どもの頃は、私だって信じていました。
「願い続ければ叶わない夢はない」
今は信じてないけど(笑)。だけど信じてみたいの、ほんとうは。
夢を見たいの。小さな子どものように。
願い続ければ、こんな汚れた私でも(笑)、自分のささやかな夢に手が届くかもしれない。まず願わなければ、なにもはじまらない。

でもそれを、ただ夢を願い続けようなんてキレイゴトだけで済まされても、私は納得させられません。

夢に向かって「努力」すること。
本気になって走る、どこまでも「走り続ける」こと。

って、赤い自転車で走るんじゃなくてさ(笑)。自分の夢の実現のためにひたむきに走るって、それがいちばん大切でしょ。

夢を願い、信じ、そして行動する。
結果、たとえ夢は叶わなかったとしても、その走った道程は、必ず自分の糧となる。
夢を願い続けることの価値は、そこにあると思うのです。
スチュアートは、何もしてませんから。所詮、セレブなお坊ちゃまが一般人の世界をお遊びで覗き見して、一人わくわくしているだけにすぎないのではないですか?
私には、スチュアートという人の本気が見えません。
そんなスチュアートを取り戻そうとするアンソニーって、悪役なんですか?
ドリームキラーてえ!難しいねえ、この話。私には理解できない。

ドリームキラー……いえ、至極真っ当な大人であるアンソニーは、スチュアート奪回をあれこれ画策します。
まずスチュアートの居所を突きとめ、部下たちに彼の周囲の徹底調査を命じる。
そこにスチュアートの説得が可能な人物として浮上したのが、恋人キャサリン@ウメちゃん。
アーティストとしての成功を夢見る彼女に、アンソニーは自分の立場を利用して、スチュアートの説得を要請する。自分たちに協力しなければ、君のアーティストとしての将来は無いと。

なんでこんなしちめんどくさいことを!(白目)

このあと結局スチュアートは、妹マーガレット@アリスちゃんの「ママが倒れた」という電話一本で、簡単にニューヨークに帰ってしまうわけです。
就職したばかりの会社も、コンペに向けて皆で頑張って制作中のアニメ「Paradise Prince」も、途中で放り投げて。
スチュアートのこの単純さ、もとい素直さは、アンソニーの調査では挙がってこなかったの?つか、長年の付き合いの中で、おのずと認識しているだろうに。
それでいて、わざわざキャサリンに工作する意味が分からん。私がアンソニーだったら、スチュアートの居所を突きとめた段階で、とりあえず「ハハキトク」と偽の電報を打ちます。
誰かを脅すなら、ニューヨークにいるマーガレットに偽電話を掛けろと脅すわ。
それならニューヨーク行きファーストクラスの航空運賃を使うまでもないし、ややこしい駆け引きを持ち出すまでもないし。
ほんとこの話、難しいったらない。登場人物たちの行動の意味が、悉く分かりませんの、私。

でも、「ブラック」な蘭とむちゃんはめちゃめちゃかっこいいのです。
クールな目線、キザな仕草、熱いはあと。そして彼の横には、彼の愛を争う男と女(笑)。
いかにも蘭寿とむな蘭とむちゃんです。蘭とむちゃんのキャラ設定で創られた二次創作モノを、蘭とむちゃん自身が演じているような。
それがいいのか私には分からないけど、初心者受けはしそうです。蘭寿とむな蘭とむちゃんは、とにかくかっこいいですから。

ええ、アンソニーもそうなんですよ。
一般的なイメージで書かれた、ステレオタイプの蘭寿とむ。
これがファンの望む蘭寿とむなのか甚だしく疑問ではあるものの、ですから初心者を取りこむには良いのかもしれない。
主人公はキラキラのプリンス、対立するキザでクールな悪役ブラック。まんまアニメだけど。

でも、許せるのはここまでだからっ。

これ以降、作者許すまじ。で、続く。

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