涕涙@『Je Chante』バウ
2010年3月31日 宙組バウ・DC・青年館リーズ@アリスちゃんもまた、ゲオルグ@みーちゃんを愛していた。
のだと、私は思っている。
純粋な意味での愛、ではなかったのかもしれない。
パリの女王ミスタンゲット@美穂さんの付き人だったジジは、その代役を射止めリーズとしてデビューし、やがて自らがパリの女王の名を手に入れる。
彼女はユダヤ人である出自を隠し、パリの興行を取り仕切っているナチス親衛隊ゲオルグ少佐に身を委ね、その地位を固めてゆく。
だが、それは果たして自分の都合だけで、ゲオルグを利用していたのだろうか。
そうとは思えないのだ。
少女だったジジは、温かい目をしたシャルル@カチャと恋をする。
だが、少女は少女のままではいられない。
ジジがリーズに生まれ変わったとき、少女もまた、大人にならなくてはならなかった。
ナチスの侵攻が進むあの時代のパリで、ユダヤ人であることを隠して表舞台に立つことが、どれだけ危険か。そして、ナチス親衛隊少佐に近づくことが、自分の身の破滅に繋がっていくか。
それが分からないほど、リーズは馬鹿ではないはずだ。
愛したのだと、思う。
少佐の暗い目の色を、リーズもまた愛したのだと思う。
ゲオルグの愛は、彼自身の立場も身分も見失ってしまいそうなほどの、強く激しいものだった。
パリ侵攻を進めるナチスの少佐として、パリの女王を手に入れる。最初はそんな彼の自己満足だったのかもしれない。
だが、彼は本気でリーズを愛してしまった。
その愛情に、1人の女性として、心動かされないはずはないのだ。
リーズとして生きていくために必要だから。
決してそれだけではなかったはずだ。
ジジは、シャルルを愛した。
だがリーズになった彼女は、ゲオルグを愛した。
リーズがリーズのままでいられたら、彼らの愛ももしかしたら成就したのかもしれない。
リーズがリーズのままで。パリがパリのままで。時代さえ違えば。
パリに不穏な空気が拡がるとき、シャルルが帰ってきた。
リーズがジジだった、純粋に少女のまま生きていられた、そのときを思い起こさせる温かい目の色を、彼女は再び見てしまった。
人は誰だって、子どものままでいたい。無邪気に、純粋に、夢だけを見て生きていきたい。
でも、それは大抵の場合叶わない。
人は、大人にならなければ、生きていけないからだ。
シャルルは、そういう意味で、ずっと少年だったのだと思う。
Je Chante 僕は歌う。
夢の中に生きる人。
しあわせだったパリの時代そのままの、夢人。
帰りたい、と。あの頃に帰りたい、と。
シャルルの目が、リーズにそう思わせてしまったことが、ゲオルグにとって悲劇だったのだろう。
リーズが、いやジジがユダヤ人であることを聞かされたとき、ゲオルグはそれまで抑えていた感情を爆発させ、初めて激昂する。
「リーズ!私を偽っていたのか!」
彼もまた心のどこかで、リーズの愛を、2人で過ごした時間を、信じていたから。
シャルルが帰ってくる前の、2人の時間を。
「私は君を愛していた、いや、今でも君を愛している。君の秘密を揉み消すことだってできるんだぞ」
どんな思いで、この言葉を絞り出したのだろう、ゲオルグは。
ナチス親衛隊少佐である彼が、ユダヤ人に対してこの言葉を口にするということの重さは、量り知れない。
そこまでの深い愛情を聞かされたとき、リーズの目から涙が零れ落ちる。
リーズもまた、ゲオルグを愛していたのだと思う。
愛にはいろいろな形がある。
シャルルに対する純粋な思いとは別に、大人として生きていく上でゲオルグの存在を必要とし、そして彼女もまたそれ以上の気持ちで彼の愛を受け止めていたのだと思う。
だから、彼の言葉が胸に突き刺さる。その胸の痛みに、リーズは涙を流さずにはいられないのだ。
ジジがリーズとなって、どうやってゲオルグと出会い、2人の時間を持つに到ったのか。
この辺は何も描かれてないんですね。
舞台上でジジがリーズになったときは、すでにゲオルグの愛人で、シャルルが帰ってきちゃうから。
アリスちゃんの持つ色が聡明で、考え無しにナチス親衛隊少佐に身を委ねるような女性にはどうしても見えない。そもそも、ゲオルグに愛人の立場を強いられたわけでは決してないんですよね。ミスタンゲットが止めるのも聞かず、自ら彼の元へ行く。
そこには、ある種の愛情があるんじゃないでしょうか。
だってゲオルグ、ほっっんといい男だし。
あれだけの男に、あれだけに愛されて、絆されない女なんているだろうか。いや、いない(なぜ反語?)
みーちゃんの芝居がゲオルグという男の価値を上げているから、これが成立するんだけど。あのゲオルグだもの、リーズの行動の根底には愛が流れているんだと、私は確信しているのです。
兵役から帰ってきたシャルルは数年を経ているはずなんだけど、これがカチャの色で、全然変わらないのですよ。それがほんとすごいと思う。
いやあ、この人ピーターパンだなあ、と。
あの頃に戻れるならば……と、リーズに思わせてしまったシャルルの目が罪なのです(素)。
リーズがリーズのままでいられたら、彼らの愛ももしかしたら成就したのかもしれない。
リーズがリーズのままで。パリがパリのままで。時代さえ違えば。
ゲオルグとリーズは、しあわせな恋人でいられたのかもしれない。
のだと、私は思っている。
純粋な意味での愛、ではなかったのかもしれない。
パリの女王ミスタンゲット@美穂さんの付き人だったジジは、その代役を射止めリーズとしてデビューし、やがて自らがパリの女王の名を手に入れる。
彼女はユダヤ人である出自を隠し、パリの興行を取り仕切っているナチス親衛隊ゲオルグ少佐に身を委ね、その地位を固めてゆく。
だが、それは果たして自分の都合だけで、ゲオルグを利用していたのだろうか。
そうとは思えないのだ。
少女だったジジは、温かい目をしたシャルル@カチャと恋をする。
だが、少女は少女のままではいられない。
ジジがリーズに生まれ変わったとき、少女もまた、大人にならなくてはならなかった。
ナチスの侵攻が進むあの時代のパリで、ユダヤ人であることを隠して表舞台に立つことが、どれだけ危険か。そして、ナチス親衛隊少佐に近づくことが、自分の身の破滅に繋がっていくか。
それが分からないほど、リーズは馬鹿ではないはずだ。
愛したのだと、思う。
少佐の暗い目の色を、リーズもまた愛したのだと思う。
ゲオルグの愛は、彼自身の立場も身分も見失ってしまいそうなほどの、強く激しいものだった。
パリ侵攻を進めるナチスの少佐として、パリの女王を手に入れる。最初はそんな彼の自己満足だったのかもしれない。
だが、彼は本気でリーズを愛してしまった。
その愛情に、1人の女性として、心動かされないはずはないのだ。
リーズとして生きていくために必要だから。
決してそれだけではなかったはずだ。
ジジは、シャルルを愛した。
だがリーズになった彼女は、ゲオルグを愛した。
リーズがリーズのままでいられたら、彼らの愛ももしかしたら成就したのかもしれない。
リーズがリーズのままで。パリがパリのままで。時代さえ違えば。
パリに不穏な空気が拡がるとき、シャルルが帰ってきた。
リーズがジジだった、純粋に少女のまま生きていられた、そのときを思い起こさせる温かい目の色を、彼女は再び見てしまった。
人は誰だって、子どものままでいたい。無邪気に、純粋に、夢だけを見て生きていきたい。
でも、それは大抵の場合叶わない。
人は、大人にならなければ、生きていけないからだ。
シャルルは、そういう意味で、ずっと少年だったのだと思う。
Je Chante 僕は歌う。
夢の中に生きる人。
しあわせだったパリの時代そのままの、夢人。
帰りたい、と。あの頃に帰りたい、と。
シャルルの目が、リーズにそう思わせてしまったことが、ゲオルグにとって悲劇だったのだろう。
リーズが、いやジジがユダヤ人であることを聞かされたとき、ゲオルグはそれまで抑えていた感情を爆発させ、初めて激昂する。
「リーズ!私を偽っていたのか!」
彼もまた心のどこかで、リーズの愛を、2人で過ごした時間を、信じていたから。
シャルルが帰ってくる前の、2人の時間を。
「私は君を愛していた、いや、今でも君を愛している。君の秘密を揉み消すことだってできるんだぞ」
どんな思いで、この言葉を絞り出したのだろう、ゲオルグは。
ナチス親衛隊少佐である彼が、ユダヤ人に対してこの言葉を口にするということの重さは、量り知れない。
そこまでの深い愛情を聞かされたとき、リーズの目から涙が零れ落ちる。
リーズもまた、ゲオルグを愛していたのだと思う。
愛にはいろいろな形がある。
シャルルに対する純粋な思いとは別に、大人として生きていく上でゲオルグの存在を必要とし、そして彼女もまたそれ以上の気持ちで彼の愛を受け止めていたのだと思う。
だから、彼の言葉が胸に突き刺さる。その胸の痛みに、リーズは涙を流さずにはいられないのだ。
ジジがリーズとなって、どうやってゲオルグと出会い、2人の時間を持つに到ったのか。
この辺は何も描かれてないんですね。
舞台上でジジがリーズになったときは、すでにゲオルグの愛人で、シャルルが帰ってきちゃうから。
アリスちゃんの持つ色が聡明で、考え無しにナチス親衛隊少佐に身を委ねるような女性にはどうしても見えない。そもそも、ゲオルグに愛人の立場を強いられたわけでは決してないんですよね。ミスタンゲットが止めるのも聞かず、自ら彼の元へ行く。
そこには、ある種の愛情があるんじゃないでしょうか。
だってゲオルグ、ほっっんといい男だし。
あれだけの男に、あれだけに愛されて、絆されない女なんているだろうか。いや、いない(なぜ反語?)
みーちゃんの芝居がゲオルグという男の価値を上げているから、これが成立するんだけど。あのゲオルグだもの、リーズの行動の根底には愛が流れているんだと、私は確信しているのです。
兵役から帰ってきたシャルルは数年を経ているはずなんだけど、これがカチャの色で、全然変わらないのですよ。それがほんとすごいと思う。
いやあ、この人ピーターパンだなあ、と。
あの頃に戻れるならば……と、リーズに思わせてしまったシャルルの目が罪なのです(素)。
リーズがリーズのままでいられたら、彼らの愛ももしかしたら成就したのかもしれない。
リーズがリーズのままで。パリがパリのままで。時代さえ違えば。
ゲオルグとリーズは、しあわせな恋人でいられたのかもしれない。
コメント