ゲオルグ@みーちゃんの登場は、開演59分後です。

1幕はあまり出番が無いらしい、という噂は聞こえてきた。現にプログラムを見てみても、1幕は最後の場にしか名前はない。

にしても、まさかここまで出てこないとは思ってなかったわ(笑)。

1幕は60分。さすがに55分ぐらい経ったとき、どーなってんのかと(笑)。

舞台は、明るいミュージカルとして進行していく。
撮影所で、酒場で、シャルル・エ・ジョニーのデビューで、皆が歌い踊りながら、どんどん場面が流れていく。兵役中でも、シャルル@カチャの歌で、そこは明るい場所になる。
この辺の演出、好きだったなあ。すべてが断片しか描かれてないけど(クドい)、ときの流れがきちんと見える。そしてそこにはいつもシャルルの歌があり、皆がしあわせになる。
役らしい役が殆どなくてバウなのに下級生は可哀相な部分があったけど、あれだけミュージカルナンバーがあって、そこで生き生きと動き回る組子のさまを見られるのは、組ファンとしてはすごーく楽しかった。

兵役にいっていたシャルルが、パリの街に帰ってくる。これが1幕の山場。
街にシャルルの歌が、帰ってくる。人々の期待、興奮。そして、シャルルがあらわれて。

Je Chante 僕は歌うよ

シャルルは歌う。人々の期待に応えて。
彼の歌が、彼こそが、パリの夢だ。

つか、1幕終わっちゃいますけど?みたいな(笑)。

そこへ、パリの女王と謳われるレビュー女優リーズが、楽屋から出てくる。今度、シャルルと共演させようと、プロデューサーのラウル@すっしーさんが企画している、その人だ。
彼女の顔を見て、シャルルは驚く。

リーズ。それはシャルルが若き日の撮影所時代に恋をした少女、ジジ@アリスちゃんだった。

思わず駆け寄ろうとするシャルル、そのときリーズの横に、ひとりの男が現れる。

「待たせたな」

みーちゃん、なんのネタ?(素)
はい、待ちましたのことよ。

じゃなくて。

登場したゲオルグの、説明はされない。
ただ、スーツに着けられた鍵十字の腕章から、そしてリーズに差し出す腕から、彼がナチスの党員で、リーズを囲っているのだろうということが予想される。

じゃなくて。

大事なのは、この場で、この一瞬で出す、みーちゃんの存在感のほう。
ベタな言い方をすれば、芝居の空気がガラっと変わるんですね。ゲオルグの登場で。

この男は、ただものではない。
そしてジジには、なにかが起こった。

パリはナチスの侵攻が進み、不穏な空気が流れている。
深刻な現実が、今のパリを支配している。

夢物語では済まされない、なにかが起こっている。

今、パリで。

ゲオルグの登場で、それらがすべてあらわになる。ただ、この一瞬で。

物語テキにも「待たせたな」、話はこれからだぜ(にやり)、なんですよ。


「知り合いか」
そう問うゲオルグに、リーズは首を横に振る。
「いいえ」

立ち去る2人、残されるシャルル。

「ジジ……!」

そう、ほんとうの物語はここからはじまるのだ。


芝居の技術は、ある人だと思う。みーちゃんは。
でも、存在感って、これはもう技術だけではどうにもならない部分がある。

ここまで空気を変えられる力を持っている人だったんだと、それに感服させられました。



でもまぢ二言数秒の出番とは思わんかった(笑)。

それがまた効いてるんですけどね。

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