「意識がなくなって倒れるまで……撃ち続けてやるぞーーーっ!」

ロバート@愛ちゃんが振り絞るように、だが野太く絶叫したとき、まさに心臓を撃ち抜かれる思いに震えさせられた。

こんな芝居ができる人だったんだ……。


愛ちゃん。綺麗な人で、たしかに宙配属直後から話題の人でした。
美しいビジュアル、男役としてめぐまれた身体……でも、常に物足りなさも感じさせられてしまうような。
素顔が女の子女の子しているのも漏れ聞こえてくるし、舞台でもガツガツしてないんですよね。
新公で大きな役が付いたのは、カサブランカのシュトラッサー(本役ともちん)が最初かな。立ってることが精一杯のような、そんな印象。
ダンシンのときは既に若手路線口のエイトシャルマンに入ってたり、それなりの期待はかかっている人だったと思う。逆裁2ではモブだったけど、他組担からも「あの綺麗な子は誰?」と何度も聞かれた。それでも、同期で最初からスター扱いだったりくちゃん、濃い芝居とキレるダンス、スカフェのトークでも人気だったモンチのほうが、一歩リードしている感はあった。

カサブランカのジョサイアで、一般の知名度が上がったと思うんです。綺麗な人だし、急に騒がれだして。
私としては、それどうなんだろう……って思う部分があったんですよ。
愛ちゃん、というか、だってあれはジョサイアが萌え役だったわけでしょ。吉正くんの萌えを一挙に引き受けたような。
ゆえに観客側の萌えの対象に急にされだしたことが、今の愛ちゃんにとってほんとうにいいことなのか分からなかった。
もちろん、話題にならないより話題になるほうがいいに決まってます。でも、この状況はちょっと疑問だった。
ゆっくり大きくなっていったほうが本人にとって幸せなんじゃないかなあ。素顔がおとなしそうな人だけに、余計な心配をしてしまっていたわけです。
宙組はトップさんも入れ替わってるし、愛ちゃんを昔から見てた人ばかりではない。今まで少しずつ階段を上ってた愛ちゃんが、急に騒がれだしたこの現象がね。本人にとって幸と出るのか否か。

新公主演もいつかは来ると思ってたけど、まだ本人はその立場に追いつけないかもしれない。ほんと心配だったんですよ。
宙担からしたら、まだまだ子どもに思えたから。急がせず、じっくり育って欲しかったから。
過保護かなあ(笑)。

カサブランカ新公で2番手役が来ましたが、そのときもまだまだ足りてないなあ、と。ナポレオンって役も難しいんですけどね、二番手とはいえ為所ある役ではないし。
やはり美しさでは群を抜いていましたし、そしてそれはすごく大事なことなんだけど、そこ止まりな印象はありました。

全ツ銀ちゃんでは、よりにもよってジミー(笑)。愛ちゃんが演ると、オカマを超えて女の子なんだもん!今の時期、これ演らせるのはかわいそうだってば!
誰鐘でもゲリラその他だし、ファナーレは男役総踊り外れてロケットなんですよね。男役の勉強、足りなくなっちゃうんじゃないかなあ。


今回、初の主演。
ヘタレでなきゃいいんだけど……そんな杞憂は、幕開きから吹き飛ばされたんです。

板の上に、1人で上がっているロバート。
愛ちゃんが、主演としてそこに在る。
圧倒されるような存在感。
そこでもう、今までの愛ちゃんとは違った。

覚醒。

若さゆえに、突っ走るロバート。戦いにも、愛にも。
目の前のことに全力で取り組む姿勢、仲間を率いる強さ、マリア@れーれへの真っ直ぐな熱い愛情。
特にマリアに対する愛情は、新人公演ではありがちなことかもしれないけど、大人の分別がまだついてない若さゆえの暴走ともいえる愛情が強く響いてきて……泣きました。
しかもラブシーンの色香がすごいんですわ。それこそいつの間に覚えたのよ(笑)みたいな。

そして最後の怒声に、私の胸は撃ち抜かれたの。

自分は死ぬ。それでも俺はこの4日間を生き抜いた。後悔はこれっぽっちもしていない。
最後に自分ができること。

「意識がなくなって倒れるまで……撃ち続けてやるぞーーーっ!」

泣きました。号泣しました。
ロバートの決意は、哀しく、だが尊い。このうえもなく尊い。


ご挨拶ですっかりいつもの「女の子愛ちゃん」に戻って、ポロポロ泣きながら、言葉に詰まりながら、一生懸命言葉を繋いでたのも印象的でした。
やっぱ女の子なんだよなあ。これが板の上でああも豹変しちゃうんだからスゴいね。
「大空さん!」って愛ちゃんが言ったとき、客席のゆうひちゃんがひらひら手え振って応えてましたね(笑)。

愛ちゃんのことだけ、取り急ぎ。新公スキーで、他組の新公も観てるけど、これだけ「スター来たああああああっ!」って新公は、近年そうなかったと思います。
でも、全般に今回の新公はレベル高かったと思う。二番手いっちゃんの覚醒も、ポイントのひとつ。
それはまたあらためて。

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