今回の集合日に退団を発表されたみんなの思い出。ただの個人的な思い出です←


ちやちゃん。
通称「市長」、のちに「裁判長」(笑)。

市長というのは、ネバセイのときのお役です。オリンピーアーダ・ポピュラールで沸くバルセロナに、スペイン内戦のはじまりとなるクーデターが起こったと告げにくる、重要な役。
ちやちゃんと言えば、やはりいちばん思い出すのはこの役です。

モロッコでフランコ将軍 兵をあげた クーデターが起きたのだ
フランコ将軍の後ろには ナチスドイツとイタリアもついているぞ
ファシストがスペインを潰しに来るのだ 軍隊煽って
国がふたつに分かれて戦う内戦が起きたのだ

歌の一部です。わたし今でも完璧にソラで歌えるけど、あらためてものすごい説明台詞(歌詞)だな(笑)。
この歌がなければ、ネバセイの物語ははじまらないという。

今言うのもどうかって話ですが、大劇場の初日は、ちやちゃん歌えてなかったんですよね。曲に振り回されてた。歌詞が、ストーリーが伝わってこない。
もちろんちやちゃんだけの話じゃなく、皆です。フランク・ワイルドホーン氏のミュージカル宝塚初演で話題を集めていたネバセイだけど、皆最初は歌えてなかったの。
それも、歌手として宙組では絶対的な信頼のあるちやちゃんが歌えてないことで「フランク・ワイルドホーンすげえな」と思わされたのだから、すげえのはむしろちやこではないかというね(笑)。
音域が異様に広く、市長の歌の出だしがちやちゃんの比較的苦手とする低音なせいだったこともあるかと思いますが、えっ、ちやちゃんなのに上手く聞こえない、って衝撃だった。
もちろん、最初の頃だけですが。あとは、物語を進める重要な役割を、この歌を、ビシっとこなしていました。
とにかくインパクトのある役で、それから宙担は誰も「ちやちゃん」とは言わなくなった。普通に「市長、市長」と(笑)。しかも何年にも渡って(笑)。
次の竜馬のときにちょっとだけ「瓦版売り」(だって売ってたんだもん!)言われたけど(「グラバーさん」とも言われてたよ)(でもそっちはむしろ「イーコソ!」で通ってた)、終わったらまた「市長」に戻ったもんね(笑)。

なんの役のときでも「今回の市長の○○(役)さあ」と言われ続けた(いいんだか悪いんだか)ちやちゃんですが、それに代わったのが「裁判長」だというね。
もちろん、逆転裁判の裁判長です。常にゼロ番!いやそういう問題ではなく、なんかものすごいインパクトでしたよね。
ちやちゃんの味あってこその、あの裁判長。なにがおもしろいのか分からないけど(ん?)一言発するだけでなんだかとてつもなくおもしろいのね。
それからちやちゃんは通称「裁判長」の時代が続いたのでした(笑)。「今回の裁判長の○○(役)さあ」

一般的には脇のおじさま役者、という言い方になってしまうのかもしれないけど、単なる「脇」にとどまらない押しのある人です。
芝居巧者とも評されているけど、単純に「巧い」人だとはわたしは思ってなくて、その押しゆえに、(使うほうとしては)難しい部分もあったのではないかと思います。意外と役を選ぶ…というか目立つんだよ!(笑)脇でもモブにはおさまりきれないから。
きちんとした場を与えられているときが、いちばん輝いていたと思う。誰鐘のエルソルドの歌にはこれでもかというぐらい泣かされたし、キャパのピカソはまさに場を支配していました。
かっこよかった……!

印象に残る役は、他にもたくさんあります。いや銀ちゃんのトメさんとか、あの豆もやしの食いっぷり!ジェンヌ捨ててますか、みたいな(笑)。常に全力で「役」を追及するタイプの役者さんです。
最初はジェンヌ然とお行儀よく食べていた大部屋仲間のカイちゃんも愛ちゃんも、後半はトメさんに負けじと豆もやし無茶食いしてましたよね(笑)。
「役」を追及する、と言えば、さっきのピカソ。有名な実在のピカソの風貌に合わせて、最初はハゲヅラ使うつもりだったって、ミニトークで言ってましたっけ(笑)。

それで、ごく普通(であるはず)の台詞を言っても、普通にならないんだもの。
トラファルガーのエドマンド、あの!不倫レストランの局面での「わしもご挨拶に行きたい!」
これも忘れられない。あの台詞を(あれだけの台詞を)無邪気に能天気に、それゆえの哀しさに満ちて出せる人は、もうちやちゃんしかいないと思うのよ。

歌の場面での活躍ももちろん多く、ショーの歌手枠には必ずと言っていいほど入っていましたが、わたしがいちばんすばらしかったと思っているちやちゃんの歌は、Amour…のヘミルのカゲソロです。これは断じて譲らない(笑)。
ヘミル。未来へ。
タニウメ宝塚最後のデュエダンでのカゲソロ。明るいちやこの歌声が、2人の未来を照らすやわらかなあたたかい光となって、劇場を包んでいました。

未来へ……。

明るい場面なのに、あの歌声でスイッチ入ってしまうんだよね。もう、どれだけ泣かされたか!

幹部さんとしても、ゆくゆくは専科さんとしても、充分に活躍できた人だと思います。
ほんとうに「なぜ?!!」って残念で仕方ない。でも、それはちやちゃんが決めたことだから……だけど、なぜ!!(しつこい)
前回、たまちゃんも卒業されましたし(すずさんは「おじさま役者」とはちょっとカテゴリー違うから)、候補者と信じていたこおまいもだし、宙組のおじさま役者は壊滅状態になるんだよなあ。すっしーさんもちょっとカテゴリー違うし。
はるかぜさんも組替えでしょ(…おじさま役者?)、宙組のこの枠どうなるんだろう。すごく心配です。

最後にまたあのヘミルのような、ちやちゃんならではの歌声を聞かせて欲しい。ソロは当然あると信じてますが、曲が肝心だよね。

明るい未来を、今度はちやこ自身の未来を、歌いあげて欲しい。


れなちゃん。
組替えで半ば解散状態の宙88期だけど、ちーちゃんとれなちゃんは残ってくれると思っていたのに。れなちゃんもいなくなるなんて。打ちのめされました。
同期エピって、やはり男役トリオが表に出ちゃうことが多いので、女の子たちのことはなかなか聞けなかったりするんですが、トラファルガーのみーちゃんお茶会でのお話。
みー「楽屋で、言葉の最後に『ファルガー』って付けるのが流行ってるんです。
えーと……『お疲れファルガー!』とか『れなファルガー!』とか…」
いや後者は流行り言葉ではなく、呼び名だろう(笑)。

組替えも卒業もまだ全然分かっていない、みつなロッサのときだったかな。宙88期同期トークがニュースで流れましたよね。
みー大れなくーちー。きゃいきゃい楽しそうだった5人。
あっという間に解散になっちゃっうんだなあ……。宙組にはちーちゃんしか残らないんだよ!すごく淋しい…。

ふくよかな歌声を武器に、歌手としての活躍が多いれなちゃん。
ファンタジスタのふりふりぶりぶりアドラステアとか……たっちん、ちあり、れな、のトリオね(笑)。キャラ違いは否めませんでしたが(おい)、でも歌声で納得させられてしまうという。

がっつりソロを聞いた最初は6年前のエンカレッジコンサートだったと思うのですが、その中でもレミゼの「夢やぶれて」は忘れられません。
わたしはレミヲタに片足つっこんでた関係上(笑)いろんな人の夢やぶれてを聞いているので、ちょっとやそっとじゃ納得しないつもりなんだけど、これはすごかった。今の儚いファンテーヌの思いが、過去の激しかったその生きざまが、一曲の中でまざまざと浮かび上がるような、そんな絶唱でした。

本公演でのいちばん印象的な歌は、カサブランカの「銀色の翼」です。希望の歌、しかも絶望の中に射す一筋の光のような……どんなときでも人は希望を捨てないという、ぎりぎりの状況の中で歌われる希望の歌でした。
れなちゃんの持つ儚さと、その癒しの声がとても場面に合っていて、それはそれは美しい世界を創り出していました。

最後にもう一度その歌声を堪能させてもらえることを、願ってやみません。


長くなったので、一旦切ります。

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