鯉助のこと@『近松・恋の道行』バウ
2012年5月6日 花組バウ・DC・青年館こいすけ、じゃありませんよ!(くどいよ)
りすけ、です^^
多少配慮したつもりだけど、若干ネタバレしますのでご注意ください。
近松門左衛門@はっちさんのニ男、杉森鯉助@みーちゃん。
自身も父のあとを継ぐ浄瑠璃作家を目指しているが、ろくな本が書けない。
父の名声に押しつぶされそうになり、酒と女に溺れる自堕落な日々をすごしている。
「浄瑠璃なんて簡単なもんや、ちょいちょいと書けばいいんやろ」などと嘯いてみせるが、彼はこのまま本を書くことはできないだろう。
そして、彼は本質的な部分で、そのことを理解している。
だから、苦しい。
彼に、作家としての才能があったのかどうかは知らない。
(史実でもたいした作品は残していないようだが、この際それはどうでもいい)
彼は、書けない。
本気で生きられない人だから。
本気で生きた人がいる。嘉平次@みわさん。おさが@みりおんちゃん。
本気で生きて、だから死んだ。本気で生きるために、死を選んだ。
本気で生きた人がいる。清吉@みつるくん。小弁@べーちゃん。
本気で生きて、だから生き抜いた。本気で生きるために、生き抜くことを選んだ。
鯉助はおそらく、本気では生きられない人だ。
心に闇を抱えた人間は、その闇を埋めるためになにかを求める。
酒であったり、異性であったり、賭け事であったり、薬であったり。
狂ったように、それに走る。というか、狂ってるんだ。
自分がいちばん分かっているはずだ。今やっていることが、どんなに虚しいかって。
だけど、止まることはできない。止められない。
それが闇であり、病みなのだろう。
だが、その闇……心にぽっかりと開いた穴は、どんなことをしても決して埋まることはない。
逃げているだけだから。
自分の闇から、目を逸らしているだけだから。
本気でなにかと向き合えない、そういう人だから。
一度逃げたら、もう逃げ続けるしか道はない。
世の中に、怯えている。怯えているからこそ、あんな舐めた(ふうの)口を利く。
違うんだ。ほんとうは、鯉助は自分の闇と、世の中と、本気で向き合うことが、ただただ……恐い。
しかし、逃げているうちは、その闇は決して埋まることなどない。
本気になれる人だったら、「事件」を引き起こした時点で、本気の自分に生まれ変われるだろう。
ここまでのことをやらかしても、変わらない。
いや、変わらないのではなく、やはり彼は変われない人なのだ。
世に名高い、近松の息子。近松の二代目。
そこに彼の闇がある……ようでいて、それはたまたまの話だろう。
同じ。
どこの生まれでも、なにをやっても、こういう人は同じ。
本なんて、書けるはずもない。いや、もしかしたら才能は、「本を書く」才能は、あったのかもしれない。
でも、ほんとうの意味での「作家の才能」って「本気で書ける」ことなんじゃないだろうか。小手先で文章を書ける、書けないではなく。
そのことに本気で取り組める、才能。
本気でなにかを、死ぬ気でなにかを、やれる才能。
仮に今の時代でも、どんな職業でも、同じこと。
本気になれる人が、勝つ。
そうなれないんだから、この人はきっとダメなままだと思うんだ。
そしてそれを自分で分かっているから、鯉助は苦しいんだと思うの。
哀しい人。ほんとうに哀しい、心の弱い人。
というか。
苦しいんですが。わたしが←
己の闇を見合わせてしまうよね、この役に視点を合わせて観たら。
苦しい、です。
観るたびに、消耗する。
きゃああ!ってなれるようなかっこいい、女子脳を満たしてくれる役(笑)だったら、どんなにか楽だっただろうね、わたしが(笑)。
一幕で、鯉助のあまりの性格の悪さ(笑)に引いた(引いた、言うな)んですよ(笑)。
ほんとうは小心者で常におどおどしているくせに、いるからこそ、つまらない虚勢ばかり張って。
器、ちっちゃ!(笑)
弱い人間ほど大口を叩く、その見本みたいな。
ほんとうは恐いんだよ。世の中が恐いんだよ。
世の中に怯えきってるからこそ、虚勢を張ることでしか自分を支えられないのだろう。
あげく子どもみたいな嘘をついて、事件を巻き起こして。
うわあイジワル!
またイジワルな顔が巧すぎてもう(苦笑)。あのイジワルさはアテ書きなんですか?(嘘)
ほんと「子どものイジワル」レベルのちっちゃい話なんだけど、結果がね。もう。とんでもないことになってしまった。
ここで改心するかな?と思った。
ニ幕。しやしない(笑)。
えっ開き直ってる←
堪えている。自分の巻き起こした事件が。父に指摘されたことが。ものすごく堪えている。そしてそのことに、また怯えている。
苦しくて、つらくて、だから鯉助が次にやったことは、開き直ってますます現実から目を逸らす、というね。
人間、そのほうが楽だもの。
自分の闇と向き合うって、しんどい作業だもの。
ああ、そこまで病んでるんだな、この人の心、って。
自分がいちばん傷ついて。自分自身を追い詰めて。
だけど、変われない。
ほんとうは変わりたかったんだと思うの……だからすごく苦しかったんじゃないかと思うの……。
そんな鯉助がもう哀しくて哀しくてしゃあない。
あとは、お蝶@まいこちゃんかな。
鯉助を、闇から救ってくれるものがあるのだとしたら。
お蝶の、真心。
だけどその救いも、あくまでも休息でしかなくて、根本的に彼を変えることはできないと思う。
変わらないんじゃない、変われないんだもの、この人。
それでも鯉助の闇が、少しでも救われればいい、と思う。
彼の心が穏やかに休まる日が来ればいい、と思う。
子どものままごとのほうが、よほど世の中の真実に迫っている。
虚しく響く、乾いた鯉助の高笑い。
彼の抱える深く暗い闇が、哀しい。
鯉助という人は、とてつもなく哀しくて、苦しい。
千秋楽まで持つかしら。わたしが←
りすけ、です^^
多少配慮したつもりだけど、若干ネタバレしますのでご注意ください。
近松門左衛門@はっちさんのニ男、杉森鯉助@みーちゃん。
自身も父のあとを継ぐ浄瑠璃作家を目指しているが、ろくな本が書けない。
父の名声に押しつぶされそうになり、酒と女に溺れる自堕落な日々をすごしている。
「浄瑠璃なんて簡単なもんや、ちょいちょいと書けばいいんやろ」などと嘯いてみせるが、彼はこのまま本を書くことはできないだろう。
そして、彼は本質的な部分で、そのことを理解している。
だから、苦しい。
彼に、作家としての才能があったのかどうかは知らない。
(史実でもたいした作品は残していないようだが、この際それはどうでもいい)
彼は、書けない。
本気で生きられない人だから。
本気で生きた人がいる。嘉平次@みわさん。おさが@みりおんちゃん。
本気で生きて、だから死んだ。本気で生きるために、死を選んだ。
本気で生きた人がいる。清吉@みつるくん。小弁@べーちゃん。
本気で生きて、だから生き抜いた。本気で生きるために、生き抜くことを選んだ。
鯉助はおそらく、本気では生きられない人だ。
心に闇を抱えた人間は、その闇を埋めるためになにかを求める。
酒であったり、異性であったり、賭け事であったり、薬であったり。
狂ったように、それに走る。というか、狂ってるんだ。
自分がいちばん分かっているはずだ。今やっていることが、どんなに虚しいかって。
だけど、止まることはできない。止められない。
それが闇であり、病みなのだろう。
だが、その闇……心にぽっかりと開いた穴は、どんなことをしても決して埋まることはない。
逃げているだけだから。
自分の闇から、目を逸らしているだけだから。
本気でなにかと向き合えない、そういう人だから。
一度逃げたら、もう逃げ続けるしか道はない。
世の中に、怯えている。怯えているからこそ、あんな舐めた(ふうの)口を利く。
違うんだ。ほんとうは、鯉助は自分の闇と、世の中と、本気で向き合うことが、ただただ……恐い。
しかし、逃げているうちは、その闇は決して埋まることなどない。
本気になれる人だったら、「事件」を引き起こした時点で、本気の自分に生まれ変われるだろう。
ここまでのことをやらかしても、変わらない。
いや、変わらないのではなく、やはり彼は変われない人なのだ。
世に名高い、近松の息子。近松の二代目。
そこに彼の闇がある……ようでいて、それはたまたまの話だろう。
同じ。
どこの生まれでも、なにをやっても、こういう人は同じ。
本なんて、書けるはずもない。いや、もしかしたら才能は、「本を書く」才能は、あったのかもしれない。
でも、ほんとうの意味での「作家の才能」って「本気で書ける」ことなんじゃないだろうか。小手先で文章を書ける、書けないではなく。
そのことに本気で取り組める、才能。
本気でなにかを、死ぬ気でなにかを、やれる才能。
仮に今の時代でも、どんな職業でも、同じこと。
本気になれる人が、勝つ。
そうなれないんだから、この人はきっとダメなままだと思うんだ。
そしてそれを自分で分かっているから、鯉助は苦しいんだと思うの。
哀しい人。ほんとうに哀しい、心の弱い人。
というか。
苦しいんですが。わたしが←
己の闇を見合わせてしまうよね、この役に視点を合わせて観たら。
苦しい、です。
観るたびに、消耗する。
きゃああ!ってなれるようなかっこいい、女子脳を満たしてくれる役(笑)だったら、どんなにか楽だっただろうね、わたしが(笑)。
一幕で、鯉助のあまりの性格の悪さ(笑)に引いた(引いた、言うな)んですよ(笑)。
ほんとうは小心者で常におどおどしているくせに、いるからこそ、つまらない虚勢ばかり張って。
器、ちっちゃ!(笑)
弱い人間ほど大口を叩く、その見本みたいな。
ほんとうは恐いんだよ。世の中が恐いんだよ。
世の中に怯えきってるからこそ、虚勢を張ることでしか自分を支えられないのだろう。
あげく子どもみたいな嘘をついて、事件を巻き起こして。
うわあイジワル!
またイジワルな顔が巧すぎてもう(苦笑)。あのイジワルさはアテ書きなんですか?(嘘)
ほんと「子どものイジワル」レベルのちっちゃい話なんだけど、結果がね。もう。とんでもないことになってしまった。
ここで改心するかな?と思った。
ニ幕。しやしない(笑)。
えっ開き直ってる←
堪えている。自分の巻き起こした事件が。父に指摘されたことが。ものすごく堪えている。そしてそのことに、また怯えている。
苦しくて、つらくて、だから鯉助が次にやったことは、開き直ってますます現実から目を逸らす、というね。
人間、そのほうが楽だもの。
自分の闇と向き合うって、しんどい作業だもの。
ああ、そこまで病んでるんだな、この人の心、って。
自分がいちばん傷ついて。自分自身を追い詰めて。
だけど、変われない。
ほんとうは変わりたかったんだと思うの……だからすごく苦しかったんじゃないかと思うの……。
そんな鯉助がもう哀しくて哀しくてしゃあない。
あとは、お蝶@まいこちゃんかな。
鯉助を、闇から救ってくれるものがあるのだとしたら。
お蝶の、真心。
だけどその救いも、あくまでも休息でしかなくて、根本的に彼を変えることはできないと思う。
変わらないんじゃない、変われないんだもの、この人。
それでも鯉助の闇が、少しでも救われればいい、と思う。
彼の心が穏やかに休まる日が来ればいい、と思う。
子どものままごとのほうが、よほど世の中の真実に迫っている。
虚しく響く、乾いた鯉助の高笑い。
彼の抱える深く暗い闇が、哀しい。
鯉助という人は、とてつもなく哀しくて、苦しい。
千秋楽まで持つかしら。わたしが←
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